付録A 用語集

用語 意味
ステートレス(stateless) サーバーが以前のリクエストを記憶せず、毎回必要な情報をすべて含める方式
応答契約 入力の前提、必須出力、禁止事項、保留条件、受け入れ基準を検証可能な条件として記した文書
システムプロンプト 全リクエストに共通のロールとルール。Anthropicは最上位のsystem、Geminiはsystem_instructionで送る
instructions OpenAI Responses APIのリクエスト単位の上位指示。以前のターンからは引き継がれない
プリフィル(prefill) assistantメッセージの冒頭を事前に埋めて答えの始まりを決める手法。Claude 4.6以降は非対応
信頼境界 自分たちの指示と、処理する外部資料を分ける線
間接プロンプトインジェクション Webページ、メール、ファイルなど外部資料に隠した指示で、モデルの行動を変えようとする攻撃
トークン モデルがテキストを処理する単位。課金、レート制限、コンテキストウィンドウの基準
コンテキストウィンドウ 1リクエストで入力、出力、推論トークンが共有する全体の分量
コンテキスト劣化(context rot) コンテキスト内のトークンが増えるほど、正確性や想起能力が落ちる現象
最大出力 max_tokens・max_output_tokens。生成トークンの上限であり、目標の長さではない
推論(思考)トークン 回答前の内部推論に使うトークン。出力として課金され、出力上限に含まれる
停止理由 応答が止まった理由。Anthropicのstop_reason、OpenAIのstatus・incomplete_details
拒否(refusal) 安全分類器やモデルが応答を拒んだ状態。AnthropicではHTTP 200で返る
temperature 次のトークンの候補分布を鋭く、または平坦にするサンプリングパラメータ
推論の強度(effort) モデルが使うトークンや推論量の調整項目。Anthropicのoutput_config.effort、OpenAIのreasoning.effort
圧縮(compaction) 長い会話の文脈を縮め、次のターンに必要な状態だけを残す機能
構造化出力 指定したJSONスキーマに従うよう出力を制限する機能
JSONモード 有効なJSONだけを保証し、スキーマへの準拠は保証しない出力方式
strictモード 対応スキーマの範囲で、応答やツール引数をスキーマに合わせて制約するオプション。拒否・出力中断やベンダー固有の例外(例:列挙値の大文字・小文字)は別途処理する
意味の検証 形式が正しい結果が、合計、日付の順序、状態などの業務ルールを満たすか確認する段階
ツール呼び出し(関数呼び出し) モデルがツール名と引数を提案し、アプリケーションが実行する方式
tool_choice モデルがツールを使うか、その対象は何かを定めるオプション
並列ツール呼び出し 1応答で複数のツールをまとめて要求すること
推論項目・思考ブロック 推論モデルがツール呼び出しとともに返す情報。次のリクエストに受け取ったまま戻す必要がある
過剰な委任 必要以上の機能・権限・自律性により、モデル出力が有害な行動につながるリスク(OWASP LLM06)
TTFT リクエストから最初のトークン(出力断片)が届くまでの時間
p95 測定値を並べたとき、遅い側の5%が始まる境界値
プロンプトキャッシュ リクエストの先頭部分の処理結果を再利用し、入力コストとレイテンシを減らす機能。出力は毎回新しく作る
応答キャッシュ 以前に作った答えをそのまま返すキャッシュ。意味が似た質問まで対応させるものはセマンティックキャッシュ
バッチAPI 即時応答が不要な大量リクエストを、割引価格で非同期処理するAPI
処理グレード 同じモデルへのリクエストを安く遅く、または高く速く処理する選択(service_tierなど)
上位への切り替え(escalation) 小さいモデルの結果が検証に失敗した際、上位モデルで処理し直すこと
業務1件当たりのコスト 呼び出し・リトライ・確認コストの合計を、品質基準を通った業務の件数で割った値
結果不明 応答がなく、サーバーで処理が実行されたかわからない状態
レート制限 一定時間に許されるリクエスト・トークンの上限(RPM、ITPM、OTPM、TPMなど)
トークンバケット 容量を決まった時刻にリセットせず、継続的に補充する制限方式
支出上限 決まった期間(例:月)の利用金額上限。到達してもリトライでは解消しない
指数バックオフ リトライのたびに待ち時間を指数的に増やす方法
冪等性 同じリクエストを複数回送っても、1回と同じ結果になる性質
冪等キー 同じ操作を1回だけ処理するためにリクエストに付ける、操作単位の一意の値。同じ操作のリトライには同じキーを使う
デッドレターキュー(DLQ) 失敗を繰り返す入力を移し、ほかの処理を妨げないようにするキュー(dead letter queue)
サーキットブレーカー 失敗率が高いと呼び出しを一時停止し、代替経路に送る仕組み
バルクヘッド 機能ごとに同時実行のリソースを分け、障害の波及を防ぐ設計
成功基準 具体的、測定可能、達成可能で、目的に関連する合格条件
評価セット 変更前後の品質を同じ基準で比較するための、固定入力、期待結果、採点方法の組
ルーブリック LLMや人が採点時に従う判定条件表
モデルスナップショット 動作が固定された特定のモデルバージョン
設定の組 モデルID、プロンプト・スキーマ・ツールのバージョン、パラメータ、SDKバージョンを一緒に管理する単位
リクエストID ベンダーが応答ごとに付ける一意の識別子。Claude APIではrequest-idヘッダー
仮名処理 個人情報の一部を削除・置換し、追加情報なしに特定の個人を識別できなくする処理(韓国「個人情報保護法」第2条)
ZDR データ無保持(zero data retention)契約。適用範囲はベンダーや機能ごとに異なる