この教本の使い方

本書の対象読者

この本は、コードを書かずにプロジェクト、カスタムアシスタント、コネクタ、エージェント機能を組み合わせ、チームの定型業務を減らしたい人のための緑帯の教本です。次の3つの立場の読者を想定しています。

読者 本書で主に得られるもの
チームの定型業務をAIで減らしたい現場リーダー どの仕事をどこまで任せるかを決める基準、導入効果を数字で示す方法
社内AIツールの管理者 共有・権限・接続の設定を組織単位で制御する方法、データ保持と学習利用の違い
ノーコード自動化の担当者 指示と資料を設計し、コネクタとエージェントに承認ポイントを置く方法

白帯(AIリテラシー)レベルの基礎があり、チーム単位でAIツールを6か月以上使った経験があることを推奨します。プロンプトとは何か、AIはもっともらしくても誤った答えを生成することがある、といった基本は知っていることを前提とします。自分でコードを書く開発やAPI連携は扱いません。MCPのように開発領域と接する話題も、接続を選び、点検する人の視点でのみ説明します。

この本を読み終えると、次のことができるようになるはずです。

  1. 業務を自動化できる単位に分け、適切な機能の組み合わせと、人がチェックするポイントを選びます。
  2. ナレッジスペースとカスタムアシスタントを設計し、チームに展開します。
  3. コネクタとエージェント機能の権限を必要な分だけ付与します。
  4. 共有・権限・データ保持の設定で情報が漏れないようにします。
  5. 自動化の結果をチェックし、運用指標をもとに改善します。

本書の構成

第1章から第5章までは、昇級審査の5つの領域と同じ順序です。前の章の成果物が次の章の材料になるように構成しました。第1章で業務を段階に分けたら、第2章ではその段階に使うナレッジスペースとアシスタントを作り、第3章では外部システムと接続し、第4章では共有範囲を決め、第5章では運用しながら改善します。

どの章も、同じ10の節で構成されています。

節 内容
学習目標 この章を終えたらできるようになるべきこと
はじめに この章がなぜ必要かを示す短い場面
重要な概念 試験範囲の知識と技能をすべて、テーマ別に説明
さらに深く トレードオフ、例外、失敗分析など、一歩踏み込んだ内容
実務の場面 架空の組織が問題から決定に至る過程。採用しなかった選択肢も含む
間違えやすいポイント もっともらしくて陥りやすい誤解と、それが誤りである理由
ひと目でわかるまとめ 試験前日に見直すための要約
公式ドキュメントで確認する 詳細を確認するための公式ページ
セルフチェック 理解を確かめる質問。解答と解説は付録B
実習課題 30〜60分で成果物が残る練習

付録Aは用語集、付録Bはセルフチェックの解説、付録Cは試験当日のガイド、付録Dは本書が引用する公式文書の一覧です。初めて読むときは各章の重要な概念と実務の場面を中心に読み、2回目には「さらに深く」と「間違えやすいポイント」を丁寧に読むことをおすすめします。

試験の概要

項目 昇級審査 無料練習セット
問題数 30問 10問
制限時間 45分 20分
合格基準 素点70点以上 なし
章 領域 配点比率
第1章 業務分析と自動化設計 20%
第2章 ナレッジスペースとカスタムアシスタント 25%
第3章 コネクタとエージェント機能 25%
第4章 共有・権限・データの境界 15%
第5章 運用と改善 15%

素点は、正解した問題の配点合計を全問題の配点合計で割り、100点満点に換算した点数です。概念を見分けたり、1つの原理を適用したりする問題は2点、2つ以上の条件を同時に検討する分析・判断型の問題は3点です。緑帯の昇級審査は半分以上が分析・判断型なので、難しい問題を落とすと点数も大きく下がります。結果には合否とともに1〜9等級が表示されます。90点以上が1等級、80点以上が2等級というように10点ごとに1等級ずつ下がり、20点未満はすべて9等級です。

問題はこのような形です

審査の問題用紙では、どの問題も番号1つ(①〜⑤)で答えます。5種類の問題形式が、この方式に変換されて出題されます。

形式 問題用紙での形 得点の条件
単一選択 5つの選択肢から1つ選ぶ 正解を1つ選ぶ
複数選択 【記述】の枠内のア、イ、ウ…から正しい組み合わせを選ぶ 正解をすべて含み、誤答を1つも含まない組み合わせ
正誤判定 3〜4つの記述から正しいものの組み合わせを選ぶ 判断と理由の両方が正しい記述だけが正しい
並べ替え (ア)〜(オ)の段階を並べた5つの候補から選ぶ 順序全体が正確であること
マッチング 項目とそれに対応する選択肢を結ぶ5つの候補から選ぶ すべての組が正確であること。使わない選択肢が1つある場合もある

分析・判断型の問題は、状況説明に2〜3個の条件が入り、そのうち1つが変わるだけでも正解が変わるように作られています。以下は形式を示すために本書で新しく作った例で、実際の問題とは関係ありません。

参考

例。 社内図書室の担当者が、貸出の問い合わせに答えるアシスタントを作ろうとしている。貸出規程は四半期ごとに変わり、延滞者の名簿は担当者だけが見るべきものである。最も適切な設計はどれか。

① 規程と延滞者名簿を両方ナレッジとして登録し、指示に「名簿の内容は回答するな」と書く。 ② 規程はナレッジとして登録し、改定のたびに差し替え、延滞者名簿はアシスタントに入れない。 ③ 規程を指示欄に貼り付け、名簿は別ファイルとして登録する。 ④ 規程は入れず、質問が来たら担当者が直接答える。 ⑤ すべての資料を1つのファイルにまとめて、検索しやすくする。

正解は②です。①は指示をアクセス制御と取り違えており、③は頻繁に変わる参考資料を指示に入れ、担当者だけが見るべき名簿まで登録しています。④は自動化の目的を捨て、⑤は機密資料を共有スペースに混ぜています。「四半期ごとに変わる」と「担当者だけが見る」の2つの条件を同時に満たすのは②だけです。

6週間の学習計画

1日40分、週4日を基準にしています。実習課題は実際の業務に適用しますが、外部への送信や実際の組織設定の変更が必要な段階は、架空の資料に置き換えても学習目標を達成できます。

週 読む範囲 作る成果物 確認
1週目 この教本の使い方、第1章 自分のチームの業務1つの段階表と自動化設計書 第1章セルフチェック
2週目 第2章 チーム用アシスタントの指示、資料管理台帳、テスト質問セット 第2章セルフチェック、無料練習セット1回
3週目 第3章 接続権限の点検表、エージェント作業仕様書 第3章セルフチェック
4週目 第4章 共有状況の点検表、機密資料の分離案 第4章セルフチェック
5週目 第5章 運用指標の定義表、失敗の改善記録 第5章セルフチェック、無料練習セット2回
6週目 全体の復習、付録 各章のひと目でわかるまとめの復習、間違えたセルフチェックの解き直し 付録Cの確認、模擬審査

表記と出典の方針

  • 本書の製品情報は、2026年10月20日に各社の公式ヘルプとドキュメントで確認しました。確認したページは、各章の「公式ドキュメントで確認する」と付録Dにまとめています。
  • 製品・機能・設定名は、画面に表示される元の表記(Projects、Can view、Always askなど)をそのまま使います。初出時に日本語の意味を添えます。
  • 公式ドキュメントで確認できなかった内容は、特定企業の機能としてではなく一般原則としてのみ説明します。価格、モデルのバージョン、細かな上限など、頻繁に変わる数字は必要な場合を除いて載せていません。
  • 事例に登場する会社や人物はすべて架空です。実在の企業や顧客とは関係ありません。
  • 法令は、韓国の国家法令情報センターで確認した条文のみを引用します。本書の説明は法律上の助言ではありません。

この分野は変化が非常に速いです。以下の表は、本書で扱う「形態」が各社の製品でどのような名前で提供されているかを、確認日時点でまとめたものです。試験では製品名よりも形態と原理を問います。

形態 OpenAI Anthropic Google
ナレッジスペース ChatGPT Projects Claude Projects(新バージョンのベータを段階的に展開中) Gemini Notebook(旧NotebookLM)
カスタムアシスタント・再利用する指示 GPTs(カスタムGPTは終了予定、Pluginsへの移行を推奨) プロジェクトの指示、Skills Gems(個人アカウントは2026年11月からskillsに切り替え)
外部接続 アプリ(Apps)、アプリやskillsをまとめたPlugins コネクタ(リモートMCPサーバーを含む) Google Workspaceとの接続(Driveファイルなど)
複数段階の作業・繰り返し実行 ChatGPT Work、スケジュールされたタスク(Scheduled tasks)、cloud browser Claude Cowork、スケジュールされたタスク(scheduled tasks)、Claude in Chrome GeminiアプリのSchedules(予約実行)とtasks(個人アカウント、一部のプラン)

注意

OpenAIは、従来のChatGPT agentは提供を終了しており、長い複数段階の作業にはChatGPT Workを使うよう案内しています。カスタムGPTはEnterpriseワークスペースでは2026年12月11日に終了する予定です。受験時点の製品画面が本書と異なる場合は、公式ドキュメントを優先してください。