付録B セルフチェックの解答と解説

1-1. 目標(到達基準と各時間の目標)、対象(学年・読解レベル)、形式(問題数・配置・正解の位置)、例示(期待する結果の例)、制約(記載すべきでないこと)です。目標が抜けると単元外の内容が混ざり、対象が抜けるとレベルが合わなくなり、形式が抜けると結果の体裁が毎回変わってしまいます。例示が抜けるとAIがレベルや形式を推測することになり、制約が抜けると確認が困難な数値や捏造された引用文が入り込んできます。

1-2. AIサービスは類似したデータで学習していたり、同一の誤った情報源を参照したりすることがあるため、同じ誤りを揃って出してしまう可能性があります。一致しているということは互いに似ているという意味にすぎず、原資料で確認されたという意味ではありません。複数回生成して比較する方法は不一致を見つけることには使えますが、事実を証明することはできません。

1-3. 体系的バイアス、計算・統計的バイアス、人間の認知的バイアスです。校閲者自身に現れうるものは人間の認知的バイアスであり、自らの期待に沿った描写を疑いにくくなる傾向がその例です。

1-4. 変更してもよいものは、文の長さや語彙、用語の解説、例示の種類と数、図・表の説明の比重のうちの2つです。変更してはならないものは、到達基準の重要概念、概念間の関係、評価が求める水準、正確性のうちの2つです。同一の評価を受ける生徒であれば、特に重要概念を守らなければなりません。

1-5. 高校は第25条第3項の学校として授業目的での利用が可能であり、高等学校以下の学校であるため補償金を支払いません。大学も授業目的での利用が可能ですが、補償金を支払う必要があります。リストにない学習塾は第25条自体が適用されないため補償金では解決できず、第28条の引用や第35条の5の公正利用の要件を満たすか、利用許諾を得なければなりません。3か所すべてにおいて出所の明示が必要です。

1-6. 第37条第1項は「この款の規定により著作物を利用する者は、その出所を明示しなければならない」と定めており、但書で出所の明示が免除される条文を列挙しています。そのリストに第25条は含まれていないため、授業目的の利用であっても出所明示の義務が残ります。

1-7. 基準は、誤っていた場合の被害の大きさです。生徒が評価や判断の根拠として用いる事実や安全に関する内容を最初に、実在の人物・機関に関する記述を次に、背景説明を最後に確認します。確認できなかった文章は削除するか、「要確認」と表示するか、あるいは生徒が原資料を調べる活動に変更します。

1-8. 正解は複数考えられます。優れた回答には、到達基準の文(教育課程文書からそのまま引用)、各時間の目標、学年および読解レベルに関する具体的な説明、問題数や正解の位置といった形式、求める水準の例示1〜2点、確認されていない数値や実在人物の発言を用いないことという制約がすべて含まれている必要があります。生徒の名前や点数が含まれている場合は修正しなければなりません。

2-1. 「幼児教育・初等教育および中等教育」という表現は、大学や成人教育を対象外とします。「生徒評価」という表現は、授業資料の作成や学習コンテンツの推薦といった評価以外の活動を対象外とします。これに加えて、「重大な影響を及ぼす、または危険をもたらすおそれ」という要件も併せて考慮します。

2-2. 開発事業者はAIを開発して提供する者であり、利用事業者は開発事業者が提供したAIを利用して製品やサービスを提供する者です。外部モデルを用いて学習アプリを開発した企業は利用事業者に該当し、法的な義務を負います。

2-3. 義務は高影響に該当するかどうかの事前検討であり、裁量は長官に確認を要請することです。長官は要請を受けた日から30日以内に回答しなければならず、1回に限り30日の範囲で延長できます。また、回答に異議がある場合は、回答を受けた日から10日以内に再確認を要請することができます。

2-4. 例えば、人の管理・監督は、教員が点数を確定する前に確認・修正できる画面と権限によって、説明方策は、点数算出の主要な基準や学習用データの概要を通知する案内資料によって、リスク管理方策は、誤りの類型別対応と定期点検計画によって、文書保管は、措置の履行記録によって実装できます。利用者保護方策は、エラー報告や訂正の窓口によって実装できます。

2-5. 平均は、過大評価と過小評価が互いに相殺される誤りを覆い隠してしまいます。例えば、長い答案を過大評価し、短い答案を過小評価するツールであっても、平均値は同等になることがあります。その代わりに、個々の答案単位での差異とその分布、そして特定の集団(答案の長さ、韓国語学習中の生徒など)別の差異を確認しなければなりません。

2-6. 形容詞による到達度の記述を「主張1点と根拠2点以上」のように観察可能な基準に変更し、教員同士が共に採点して合意した水準別の模範答案を添付します。どちらの方法も、人間同士の解釈の不一致を揃えることにも役立ちます。

2-7. AIの点数を先に見ると、その点数がアンカー(錨)となって教員の判断がAI側に引きずられやすくなります。これが自動化バイアスです。教員が先に採点すれば、AIの点数は判断を代替するものではなく、再確認すべき答案を知らせるシグナルとなります。

2-8. 正解は複数考えられます。結果が成績に反映されるのであれば、教員がすべての点数を確定し、AIは差異の大きい答案を抽出するために使用し、生徒に対してAIの補助利用と教員による確定を事前に告知し、異議申し立てに対しては教員が評価基準表に基づいて再採点し説明する手順を含める必要があります。記録に残さない練習であれば、即時のAIフィードバックとAI利用の告知、サンプリング点検、および報告窓口を設ければ十分です。

3-1. 他の情報の入手可能性など、特定の個人を識別するために要する時間、費用、技術を合理的に考慮します。学級(クラス)は構成員同士が互いをよく知っている小さな集団であるため、家族の話や特別な経験といった手がかりと結びつく情報がごく身近に存在します。そのため、名前を消しても誰であるかが容易に特定できてしまうケースが多いのです。

3-2. 例えば、目的を明確にし、必要な最小限のみを処理する(第1項)、プライバシー侵害を最小限に抑える方法で処理する(第6項)、匿名情報で目的を達成できる場合は匿名、それが不可能な場合は仮名で処理する(第7項)などを挙げることができます。利用目的外の利用禁止(第2項)や安全な管理(第4項)を選んでもかまいません。

3-3. 同意が必要な場合は法定代理人の同意を得て同意の有無を確認すること(第1項)、法定代理人の同意を得るために必要な最小限の情報(氏名・連絡先)は子どもから直接取得できること(第2項)、子どもに告知する際には理解しやすい様式と言語を用いること(第3項)です。確認方法としては、携帯電話による本人認証、書面への署名・捺印、電子メールによる同意の意思の受領、同意確認の事実を伝えるSMS通知、電話による同意などを挙げることができます。

3-4. 収集・利用目的、収集項目、保有・利用期間、同意を拒否する権利および拒否に伴う不利益です。同意しない生徒に対しては、同様の学習目標を達成できる代替活動を用意します。

3-5. 統計の作成や学術研究などの目的で、データの対象者が誰であるかを識別できない形で提供する場合です。秘密保持契約は受け取る側の利用を制限する保護措置にすぎず、法律で定められた生徒・保護者の同意や「識別できない形」という要件を満たすものではありません。

3-6. 学習への利用、保管期間、アカウントの種類、処理の関係と場所(委託・国外)、年齢基準です。「学習に利用しない」という文言だけでは保管期間(どのくらいの期間残るのか)が分からず、アカウントの種類ごとの違いや年齢基準も確認できません。

3-7. 法定同意年齢は誰の同意が法的に有効であるかを定め、利用規約の年齢基準は誰がそのサービスを利用でき、どのような条件が必要かを定めます。例えば、満15歳の生徒は法的には自ら同意できますが、利用規約が18歳未満に保護者の承諾を求めている場合は保護者の承諾も得る必要があります。満12歳の生徒は保護者が同意したとしても、利用規約が13歳未満の利用を禁じている場合は利用できません。

3-8. 正解は複数考えられます。例えば、相談日誌の要約には一般化した質問、生徒の作文へのフィードバックには識別情報や手がかりを削除した後の承認済みツール、問題分析には集計統計を用いるのが適切です。それぞれの選択の理由として、目的に必要な最小限の処理と、学校が管理するツールであることという2つの基準が示されている必要があります。

4-1. 著者性(誰が何を書き、それを正直に明示したか)、プロセス(課題が培おうとする能力の過程を経たか)、正確性と責任(事実を確認し、内容に責任を持てるか)です。3つの問いはすべて、AIを使わなくても失敗する可能性があります。例えば、インターネットの文章にある誤った数値を検証せずに使えば正確性の面で、他人が代筆した文章を提出すれば著者性の面で失敗します。

4-2. 0 利用なし(独力での現在の実力を測る診断や基礎技能の練習)、1 探索のみ(調査と執筆を併せて評価する探究レポート)、2 下書きの補助(推敲の過程を学ぶ課題)、3 自由利用(AIリテラシーの育成を目標とする課題)です。

4-3. アイデアを得ただけであれば利用記録を残します。AIが提示した事実を利用する場合は原資料を探して確認し、原資料を引用します。AIが生成した文章をそのまま掲載する場合は、引用表示を用いて生徒自身の文章と区別し、どのツールによって生成された文章であるかを明示します。

4-4. 生徒にとって長く残る判断を下すには十分に信頼できなかった点、人間が書いた文章をAIが書いたものと判定してしまった点、英語を第2言語として学ぶ生徒や定型的・簡潔な文章を書く生徒に偏った影響を与えかねない点、わずかな修正で検出を回避できてしまう点です。ChatGPTに尋ねても確認できないという点も併せて明らかにされました。

4-5. 誤判定率は、不正をしていない生徒全体に掛け合わされるためです。不正をしていない生徒が数百人いれば、わずかな割合であっても複数人の無実の被害者が生じることになり、実際にAIを利用した生徒の数が少ないほど、「AI作成」と判定された文章の中に占める無実の文章の割合が高くなります。その誤判定が特定の集団に偏れば、問題はさらに深刻化します。

4-6. 授業中のアウトライン・冒頭段落の作成、段階的な提出、短い口頭確認、対話ログの提出のうち3つを挙げればよいでしょう。生徒数が多く時間が限られている場合は、授業中の下書き作成や2〜5分の口頭確認のように、生徒1人当たりのコストが小さく、プロセスと理解度を直接確認できる仕組みが適しています。全画面録画のように教員がすべてを確認しきれない仕組みは適していません。

4-7. 基準の確認、根拠の収集、通知と弁明、決定、通知と異議申し立てです。証拠が明白であっても省略してはならない段階は、弁明です。

4-8. 正解は複数考えられます。優れた案内文には、許容レベル、行ってよいことと行ってはならないことの具体的な例、提出すべき記録、AIが提示した事実の取り扱い方法、基準違反が疑われる場合の手続きが含まれています。「AIに依存しないこと」のように解釈が分かれる曖昧な文しか書かれていない場合は、修正が必要です。

5-1. 誰のどのような課題であるか、現在の方式とその限界(可能であれば数値で)、何が変われば成功と言えるかです。例えば、採点負担の原因が人手不足ではなく評価基準表の曖昧さにあるとすれば、AIツールよりも先に基準表の整備を行うべきです。

5-2. 利用量は多く使われたという事実を示すだけであり、学習や業務が改善されたかどうかを示すものではありません。満足度は主観的な印象を示すだけで実際の成果とは異なる場合があり、大半は学期末に1回調査される程度であるため、運用中の誤りを見つけるためにも利用できません。

5-3. 教育機関においてツールを検証する準備が不足しているため学校が自ら検証しなければならない点、データのプライバシー保護と年齢基準(教室内でのAIツールの利用は13歳以上)を確認しなければならない点、ツールの導入と同時に教員研修を実施しなければならない点、人間中心であり年齢に応じたアプローチを取らなければならない点のうち、3つを挙げればよいでしょう。

5-4. 5つの側面は、人間中心の考え方、AI倫理、AIの基礎と活用、AI教授法、専門性開発のためのAIであり、3つの段階は、習得、深化、創造です。教員の現在の段階に応じて研修コースを分け、初めて利用する教員には習得コースを、すでに利用している教員には深化コースを提供することができます。

5-5. Govern、Map、Measure、Manageです。横断的機能はGovernであり、ガバナンスとは導入初期に一度定めて終わるものではなく、運用の全期間を通じて他の機能を先導し、点検結果に応じて見直されなければならないものであることを意味しています。

5-6. モデルの変更や機能の追加、教材の改訂や試験範囲の変更、事業者の利用規約・データ条件の変更や契約更新、エラー報告の急増、教職員の異動や学年進行のうち、3つを挙げればよいでしょう。

5-7. 個人情報の漏えいが発生した場合は、該当する機能を停止し、保護責任者に報告して漏えい範囲を確認した上で、通知・報告の要否を判断します。生徒の安全や情緒に関するインシデントでは、影響を受けた生徒に人間が直接連絡を取って支援につなげ、該当する機能を停止します。内容の誤りについては、原因を修正して再テストを実施した上で、影響を受けた生徒に訂正内容を通知します。過小対応の例としては事業者の報告書を待つだけで何もしないこと、過剰対応の例としては修正可能な単一の誤りのために全学年での利用を次年度まで一律に停止してしまうことが挙げられます。

5-8. 正解は複数考えられます。優れた回答には、数値で表現された課題の定義、目的に直結した重要指標(利用量や満足度ではないもの)、2〜3クラス規模でのパイロット運用の範囲と期間、パイロット運用の結果をもとに導入拡大の可否を判断する具体的な基準(対象集団の変化を含む)が含まれている必要があります。