第3章 回答を確認する

学習目標

  • AIの回答から確認が必要な部分(数字、日付、名前、場所、金額、根拠)を見つけて印をつけます。
  • 出典を求め、その出典を公式ウェブサイトで直接探して回答と一致しているか、いつ書かれた情報かを確認します。
  • 質問の種類に合った確認先(公式機関のウェブサイト、公式代表電話、専門家)を選びます。
  • メッセージやAIの回答に記載されたリンクや電話番号の代わりに、公式ウェブサイトを直接検索してアクセスし、確認します。
  • 健康・法律・お金の問題では、AIの回答を相談の準備用としてのみ使い、専門家に相談します。

はじめに

キム・ヨンシクさんは73歳です。冬が近づき、暖房費が心配になってAIに尋ねました。「ガラム市に住む70代の一人暮らしの高齢者が受けられる暖房費の支援はある?」AIは親切に答えました。「ガラム市の『温かい冬の暖房費支援』を受けることができます。満65歳以上の単身世帯であれば誰でも申請でき、支援金は20万ウォン、申請締め切りは11月30日です。ガラム市役所福祉課(電話 031-○○○-○○○○)へお問い合わせください。」

キム・ヨンシクさんは嬉しくなって、すぐに電話をかけようとしましたが思いとどまりました。先月、老人福祉館のAI教室で聞いた言葉が思い浮かんだからです。「数字、日付、金額、電話番号が出てきたら下線を引いてください。」この回答には、下線を引くべき場所が7か所もありました。

翌日、キム・ヨンシクさんは住民センターに立ち寄りました。似たような支援事業は実際に存在していました。しかし、対象は「誰でも」ではなく所得基準があり、申請締め切りは11月30日ではなく12月15日でした。支援方式も現金ではなく暖房用燃料の購入クーポンでした。AIが教えてくれた電話番号は、まったく別の部署の番号でした。

AIの回答は役に立ちました。そのような支援があるかもしれないという手がかりを与えてくれたからです。しかし、そのまま信じ込んでいたら、見当違いの場所に電話をかけたり、受給できないと端から諦めてしまったり、締め切りを逃してしまったりしていたかもしれません。本章では、AIの回答から確認すべき場所を見つける方法と、どこで確認すればよいかを扱います。まず下線を引く場所を探す練習をし、出典と日付を確認する方法を身につけます。続いて公式機関のウェブサイトや電話で確認する方法、確認先を選ぶ方法を扱い、最後に健康・法律・お金の問題で専門家を訪ねるべき理由を見ていきます。

重要な概念

確認は疑いではなく習慣である

お店でお釣りを受け取ったら、一度数えてみます。レジ係を疑っているからではなく、誰でも間違いを犯す可能性があるからです。数えるのには数秒あれば十分ですし、間違っていたときに正すのも簡単です。家に帰ってから気づいたのでは遅いのです。

AIの回答を確認するのも同じです。AIを信じられないからではなく、第1章で見たようにAIはもっともらしく間違えることがあるからです。OpenAIもヘルプページで、引用、資料、外部文書への言及は常に確認するよう推奨しています。

幸いなことに、確認すべき場所は回答全体ではありません。感謝のメッセージの温かい口調や、日程表の順序などを確認する必要はありません。確認すべき場所は、大抵の場合、回答の中の数か所です。その数か所を見つけ出す目を養うことが、本章の第一歩です。

確認すべき場所に下線を引く

AIの回答を受け取ったら、次の8項目に下線を引くつもりで読んでみてください。

下線を引く対象 例
数字 20万ウォン、3日、65歳
日付と時間 11月30日締め切り、午前9時
人名 担当者名、医師名、歴史上の人物
店舗・機関・制度名 ○○支援事業、○○福祉館
場所と住所 ○○洞○○番地、3階窓口(民願室)
電話番号とウェブサイトのアドレス 031-○○○-○○○○、www.○○.kr
資格と規則 「誰でも」、「満65歳以上であれば」、「書類なしで」
根拠 「○○の発表によると」、「法律に基づき」

特に「誰でも」、「必ず」、「無条件で」、「書類なしで」といった幅広く断定する言葉に注意してください。実際の制度には、ほとんどの場合条件や例外があります。AIが条件を省いて単純化して伝えている可能性があります。

やってみましょう:「はじめに」の回答に下線を引く

キム・ヨンシクさんが受け取った回答に下線を引いてみると、次のようになります。

ガラム市[温かい冬の暖房費支援]を受けることができます。
[満65歳以上][単身世帯]ならば[誰でも]申請でき、
支援金は[20万ウォン]、申請締め切りは[11月30日]です。
[ガラム市役所福祉課(電話 031-○○○-○○○○)]へお問い合わせください。

括弧で囲んだ部分が確認すべき場所です。残りの文(「受けることができます」、「お問い合わせください」)はつなぎの言葉なので、確認する必要はありません。このように見ると、確認作業はずっと楽になります。

要点

AIに「回答の中で事実確認が必要な部分を個別にリストアップして」と頼むと、下線引きを手伝ってもらうことができます。ただし、これは確認すべき場所を見つける手助けにすぎず、確認そのものではありません。AIが見落とした箇所があるかもしれないので、8つの基準でもう一度見直します。

数字・名前・場所を見直すコツ

下線を引いた場所を見直すときは、次のようなよくある間違いを念頭に置くと、素早く見つけることができます。

よくある間違い 例 確認のコツ
桁数と単位 2万ウォンと20万ウォン、1.5kmと15km 単位まで声に出して読んでみる
似たような名称 ガラム市福祉課とガラム区福祉課 名前を一文字ずつ照合する
同名・別地域 複数の都市にある「中央洞」 市・郡・区の名称まであわせて確認する
曜日と日付 「11月第3土曜日」が実際には何日か カレンダーと突き合わせてみる
古い情報 昨年の料金、以前の担当部署 情報の日付を見る(次節)
対象と条件 「65歳以上」の後に続く所得基準 公式案内の「支援対象」を最後まで読む

名前や場所は、一文字違うだけでもまったく別の場所になります。特に地域の名称が含まれる情報は、自分が住む地域の情報なのか、他の都市の類似した情報なのかを必ず確認します。

出典を尋ねる

出典とは「その情報がどこから来たのか」です。出典があれば、直接アクセスして確認することができます。AIが出典を示さなかった場合は、尋ねることができます。

[続けて質問する]
さっき言っていた暖房費支援の内容は、何に基づいているの?
確認できる公式ウェブサイトのアドレスも一緒に教えて。
わからなければ、わからないと言ってね。

検索機能があるAIであれば、実際のウェブサイトのリンクを添付してくれるでしょう。検索機能がないAIであれば、「確認できません」と答えるか、時にはもっともらしいアドレスをでっち上げることもあります。第1章で見たように、OpenAIもAIが存在しない出典を捏造する可能性があると案内しています。そのため、出典は教えてもらって終わりではなく、直接アクセスして確認しなければなりません。

出典を訪ねる:4つの確認

AIが教えてくれた出典は、どの機関のどの文書を見ればよいかを突き止めるために使います。リンクを直接クリックするのではなく、検索窓にその機関名を入力してアクセスするか、お気に入りに保存してある公式ウェブサイトにアクセスした上で、その中から該当する文書を探します(本章「リンクは直接検索してアクセスする」)。そして、次の4点を確認します。

  1. 公式ウェブサイトで見つかるか? その機関のウェブサイトで該当の文書やお知らせが見つからない場合、その出典は利用できません。AIがでっち上げた出典である可能性もあります。
  2. 誰が書いたサイトか? 市役所、政府省庁、公共機関、病院・銀行などの公式ウェブサイトなのか、それとも個人のブログや広告記事なのかを確認します。
  3. 内容がAIの回答と同じか? その文書に、AIが述べた数字、日付、条件が本当にそのまま記載されているかを照合します。文書自体は本物でも、AIが内容を変えて伝えている場合があります。
  4. いつ書かれた記事か? 掲載日や更新日を確認します。昨年の告知であれば、今年は異なっている可能性があります。

この4つをすべてクリアして初めて「確認できた」と言えます。一つでも引っかかる点があれば、別の場所で再確認します。

日付を確認する

同じ内容であっても、いつの情報かによって正しかったり間違っていたりします。第1章で見たように、AIは学習した時点以降の変化を知らないことがあります。ウェブサイトの記事も、古いものがそのまま残っていることがあります。

日付を確認するときは、次のような箇所を見ます。

  • お知らせや記事:タイトルの下や末尾の掲載日、更新日
  • 支援事業:申請期間、事業年度(「2026年○○支援事業」)
  • 法律や制度:施行日。例えば、国家法令情報センターは法律名の下に「[施行 2026. 9. 11.]」のように現在適用されている日付を表示しています。
  • 料金や時刻表:「○月○日より変更」といった案内

注意

このようなときは立ち止まってください。 支援金、申請期間、料金のように年ごとに変わる情報が昨年の日付の記事にしか載っていない場合は、その内容をもとに申請したりお金を支払ったりしないでください。今年の告知を探すか、担当機関に電話で確認します。

公式機関のウェブサイトで確認する

確認先として最も信頼できるのは、その情報に直接責任を持つ機関です。暖房費支援であればその事業を実施する市役所や区役所、バスの運行時刻であればそのバス会社やバスターミナル、病院の診療時間であればその病院です。このような機関が運営するインターネットサイトを公式ウェブサイトと呼びます。ヌリジプは「ウェブサイト」を意味する韓国の固有語です。

質問の種類別の確認先の例は次のとおりです。

知りたいこと 確認先
地域の支援事業、行政手続き(民願) 市・郡・区庁のウェブサイト、住民センター
法律の条文、施行日 法制処 国家法令情報センター(law.go.kr)
身近な法律問題をわかりやすい言葉で 法制処 わかりやすい生活法令情報(easylaw.go.kr)
疾病や健康の一般的な情報 疾病管理庁 国家健康情報ポータル(health.kdca.go.kr)
金融詐欺への対処法 金融監督院 ボイスフィッシングキーパー(ボイスフィッシングジキミ)
病院・店舗の営業時間 その病院・店舗の公式ウェブサイトや電話
交通の時刻表と運賃 運行会社やターミナルの公式ウェブサイト

公式ウェブサイトであっても、一つ覚えておくべきことがあります。一般的な情報と自分自身の場合は異なる可能性があるということです。国家健康情報ポータルの疾病に関する説明は一般的な内容であり、自分の体に合わせた判断は医師が行います。生活法令情報の説明も一般的な案内にすぎず、自分の事案に対する判断は専門家が行います。

リンクは直接検索してアクセスする

確認のためにアクセスする際にも、注意すべき点があります。ショートメッセージやメッセンジャーで送られてきたリンク、AIの回答に記載されたリンクをクリックする代わりに、検索やお気に入りから公式ウェブサイトに直接アクセスする習慣を身につけてください。

金融監督院のボイスフィッシングキーパー(ボイスフィッシングジキミ)の予防指針でも、同様の点が強調されています。フィッシングサイトは正常なアドレスではないため、ショートメッセージやメールで届いた金融会社・公共機関のウェブサイトのアドレスは、インターネット検索などを通じて正確なアドレスであるか確認するよう案内しています。

  1. 検索窓に機関名を入力します(例:「ガラム市役所」)。
  2. 検索結果の中で広告表示が付いているものはスキップします。
  3. 機関の公式ウェブサイトにアクセスします。
  4. よく利用する機関のウェブサイトはお気に入りに保存しておき、次回からはそこからアクセスします。

注意

このようなときは立ち止まってください。 確認のためにアクセスしたウェブサイトがアプリのインストールを求めてきたり、住民登録番号・口座番号・暗証番号・認証番号の入力を先に求めてきたりした場合は、その場ですぐに中断してください。情報を確認する段階でこのようなものを要求してくるサイトは疑うべきです。この内容については第5章で改めて扱います。

電話で確認する

ウェブサイトを見るのが難しかったり、内容がよくわからなかったりする場合は、電話で問い合わせるのが最も確実です。このときにかける電話番号は、公式ウェブサイトに記載された公式代表番号です。AIの回答に書かれた電話番号やメッセージで届いた電話番号にそのままかけてはいけません。キム・ヨンシクさんの事例のように、AIが別の部署の電話番号を教えてしまうこともありますし、第5章で見る詐欺の連絡では意図的に偽の電話番号を伝えてくることもあります。

電話で確認する際は、あらかじめ質問事項をメモしておくと安心です。AIはこの準備を上手に手伝ってくれます。

[送信する質問]
市役所の福祉課に暖房費支援事業について電話で問い合わせようと思っているの。
70代の単身世帯である自分が対象になるかどうかを確かめるには、何を聞けばいいか
質問を5つ、短く作成して。質問リストに私の名前や住所は入れないでね。
[AIの回答例]
1. 今年の暖房費支援事業はありますか?事業名は何ですか?
2. 支援対象の基準(年齢、世帯、所得)はどのようになっていますか?
3. 申請期間と締め切り日はいつですか?
4. どこで、どのような書類を用意して申請しますか?
5. 支援はどのような方式(現金、クーポンなど)で受け取れますか?

この質問リストには事実情報が含まれていないため、確認する必要はありません。AIを確認作業の準備をするために活用した良い例です。

2か所以上で照合する

重要な情報は、2か所以上で突き合わせて確認すると、より安心できます。これをクロスチェックと呼びます。例えば、市役所のウェブサイトの告知と住民センターの職員の説明が一致していれば、信頼できます。

クロスチェックにもコツがあります。数よりも質が重要です。同じ内容を転載した10件のブログよりも、1件の公式告知のほうがはるかに信頼できます。ブログの執筆者が全員、同じ間違った記事を書き写している可能性もあるからです。そのため、順序を次のように決めるとよいでしょう。

  1. その情報に責任を持つ機関の公式案内をまず確認します。
  2. 公式案内で判断がつかない場合は、その機関に電話で問い合わせます。
  3. ブログやコミュニティ(カフェ)の記事は、「こういうものもあるのか」という手がかり程度にとどめます。

AIの回答も、この3番と同じ位置づけにします。手がかりとしては非常に役立ちますが、確認の根拠にはなりません。

確認先を選ぶ

ここまでの内容を一つの表にまとめると次のようになります。何を確認すべきかによって、確認先が異なります。

確認する事項 第1候補 第2候補 使ってはいけないもの
支援事業の対象・期間 担当機関の公式告知 担当部署の公式代表電話、住民センター窓口 メッセージで届いたリンク、AIの回答の電話番号
病院・店舗の営業時間 その場所の公式ウェブサイト・電話 地図アプリの情報(最新更新日を確認) 古いブログ記事
法律の条文と施行日 国家法令情報センター わかりやすい生活法令情報 出典のない要約記事
薬と症状 医師・薬剤師 国家健康情報ポータル(一般情報) AIの回答のみでの判断
銀行取引・詐欺の疑い 利用している銀行の公式アプリ・代表電話 金融監督院 ボイスフィッシングキーパー(ボイスフィッシングジキミ) メッセージ・電話で伝えられた電話番号
歴史的事実(孫の宿題) 教科書、公共機関の資料 図書館の本 AIの回答の丸写し

健康問題は医師・薬剤師と

体にまつわる質問は、AIに対して最も頻繁に行われる質問の一つです。AIは難しい医学用語をわかりやすく解説してくれたり、病院で何を質問すべきかを整理したりするのに大いに役立ちます。しかし、次のことはAIに任せてはいけません。

  • 自分の症状が何の病気かを判断すること
  • 薬の服用をやめたり、増やしたり、他の薬と併用するかを決めること
  • 病院に行くべきかどうかを決めること

AIは自分を診察したわけではなく、服用している薬や持病をすべて把握しているわけでもなく、間違っていたとしても責任を取ることはできません。AIによる一般的な説明が、自分の場合に当てはまらないこともあります。

AIを健康問題に対して安全に活用する方法は、相談の準備をするために使うことです。

AIに任せてもよいこと 医師・薬剤師に聞くべきこと
診療時に尋ねる質問リストの作成 自分の症状の原因と治療
処方箋に書かれた用語の一般的な意味の解説 服用中の薬同士を併用してもよいか
症状を記録するための表の作成 薬を減らしたり中止したりしてもよいか
病院の案内文を平易な言葉に言い換えること 運動や食事の制限が自分に合っているか

注意

このようなときは立ち止まってください。 胸の痛み、ろれつが回らなくなる、息苦しさ、意識がもうろうとするといった緊急を要する症状がある場合は、AIに質問して時間を費やしてはいけません。すぐに119番に通報してください。消防庁の119番救急通報要領では、患者がいること、住所、患者の状態、年齢や持病、通報者の連絡先を伝えるよう案内しています。

法律問題は専門家と

契約、相続、近隣トラブル、チョンセ保証金(伝貰保証金)といった問題も、AIに尋ねてしまいがちです。AIは法律用語をわかりやすく解説し、一般的な手続きを説明し、相談時に持参する資料リストを作成するのに役立ちます。

しかし、法律問題は個別の事情によって結論が異なります。 契約書の一行、日付のたった一日の違いが結果を大きく変えることもあります。そして第1章で見たように、AIは法律が改正された後の内容を知らなかったり、他国の制度を混同して話したり、存在しない条文をでっち上げたりすることもあります。

そのため、次の手順に従います。

  1. AIには用語の解説や質問リストの作成を依頼します。
  2. 法律の条文は国家法令情報センターで、わかりやすい説明は「わかりやすい生活法令情報」で直接確認します。
  3. 署名、送金、訴訟のように取り返しのつかない決定を下す前には、弁護士や法律相談機関などの専門家に相談します。

お金の問題は公式窓口と

預金、融資、保険、投資、年金のように金銭が関わる問題も同様です。AIは「中途解約」や「複利」といった用語を平易に解説し、銀行に行って質問すべき項目を整理するのに役立ちます。しかし、商品を選んでお金を移動させる決定は、該当する金融機関の公式窓口で直接説明を聞いた上で行います。

特に次のような場合には、まず疑ってかかる必要があります。

  • AIの回答や誰かからのメッセージが「確実な高利回り」、「元本保証」を謳っているとき
  • 特定の投資商品や暗号資産(コイン)を今すぐ購入するよう勧めてくるとき
  • 銀行アプリの代わりに見慣れないアプリやリンクを使って取引するよう指示されたとき

AIが作成したもっともらしい投資の説明や、有名人の顔を模倣した投資広告については、第5章で改めて扱います。

さらに深く

確認できないときは

懸命に探しても確認が取れないことがあります。公式サイトに内容が掲載されておらず、電話もつながりません。このようなときは3つの道があります。

  1. 使いません。 確認できない情報をもとにお金を支払ったり、書類を提出したり、他人に伝えたりしません。最も安全な道です。
  2. 「未確認」と明記して伝えます。 どうしても伝えなければならない場合は、「AIが教えてくれた内容ですが、まだ確認できていません。各自で確認してみてください」のように、確認できていない事実を合わせて明かします。
  3. 待ちます。 機関が開所する翌日に改めて確認します。本当に急を要する用件でなければ、1日待つことによる損害は通常それほど大きくありません。

逆に、「確認する時間がないから、ひとまず信じよう」という考えがよぎるときが最も危険です。第5章でも見ますが、詐欺はまさにこの「時間がない」という感覚を作り出します。

グループチャットに転送する前に

家族のグループチャットや同窓会のトークルームに、役立ちそうな情報を伝えたくなることはよくあります。「これ知ってた? AIに聞いてみたらこうなんだって」。しかし、グループチャットに投稿された文章は、また別のグループへと転送され、その先でさらに転送されていきます。最初に送信した人は、後から誤りに気づいたとしても、すべてのチャットルームを回って訂正することはできません。

そのため、他人に伝える前には基準を少し高く設定します。

  • 数字、日付、金額、資格条件が含まれている場合は、公式の案内に照らして確認したうえで伝えます。
  • 確認した公式サイトの名称を併記します。「カラム市庁公式サイトの告知基準」といった1行があれば、受け取った人も再確認できます。
  • 健康情報(何が何の病気に効くなど)は特に注意します。受け取った人が服薬を中断したり薬を変えたりすることにつながりかねません。
  • 誤りに気づいた場合は、速やかに同じチャットルームに訂正の文章を投稿します。

AIに自己点検させることの有用性と限界

AIに「今の回答で間違っている可能性がある部分を指摘して」と頼むと、有益な回答が返ってくることもあります。「営業時間は変更されている可能性があるので確認してください」といった具合です。確認すべき場所を探す役には立ちます。

しかし、これを「確認」と見なしてはなりません。第1章で見たように、AIに再度尋ねることは、同じ人物に2度尋ねることと同じです。AIは自身の回答の誤りを見落とすこともあれば、逆に合っている部分を間違っていると言い出すこともあります。こちらが疑うような口調で尋ねると、正しい回答を変更してしまうことすらあります。

まとめると、AIは確認すべき場所を探すことには役立ちますが、確認そのものはAIの外部で行います。公的機関、原本資料、その業務に責任を持つ人物こそが、確認の根拠となります。

実務の場面

キム・ヨンシク氏の暖房費支援申請

状況。 「はじめに」で登場したキム・ヨンシク氏は、AIの回答に7か所の下線を引き、確認に乗り出しました。

思考の過程。 キム・ヨンシク氏は、確認先を選ぶ表を思い浮かべました。支援事業の対象と期間は「担当機関の公式告知」が第1候補です。ショートメッセージのリンクやAIが教えてくれた電話番号は使いません。

見送った選択肢。

  • AIが教えてくれた番号に直接電話する。 AIが番号を誤って伝えた可能性があるため、見送りました。実際、別の部署の番号でした。
  • 「誰でも申請できる」とのことなので書類だけ揃えて持参する。 条件を確認しなければ無駄足になりかねないため、見送りました。
  • AIに「本当に誰でももらえるの?」と聞き直す。 AIに聞き直すことは確認にならないため、見送りました。
  • ネットのコミュニティ(カフェ)で他人の体験談を検索してみる。 手がかりにはなるものの、昨年の話である可能性があるため、第1候補にはしませんでした。

決定。 キム・ヨンシク氏はカラム市庁の公式サイトを検索して直接アクセスし、「暖房費」を探しました。今年の告知が掲載されていましたが、所得基準が難しい言葉で書かれていました。そこで告知文をAIに貼り付け、「この告知の支援対象の部分を、70代の高齢者にもわかるようにやさしい言葉でかみ砕いて説明して」と頼みました。わかりやすい説明を読んだことで、何を質問すべきかが明確になりました。翌日、住民センターへ行って職員に所得基準に該当するかどうかを確認し、12月15日の締切前に申請を完了しました。

この場面において、AIは2回使われました。最初には手がかりを与え、後には公式の告知をわかりやすくかみ砕いてくれました。2回とも、事実を確定する役割を果たしたのは公的機関でした。

オ・ミソン氏の父親の風邪薬

状況。 オ・ミソン氏の父親は血圧の薬を服用しています。風邪をひいた父親から、薬局で購入した風邪薬を一緒に飲んでもよいかと尋ねられました。夜10時のため、かかりつけの薬局は閉まっていました。オ・ミソン氏がAIに尋ねたところ、AIは「一般的には一緒に服用できますが、一部の風邪薬の成分は血圧に影響を与える可能性があるため注意してください」と回答しました。

思考の過程。 オ・ミソン氏は、この回答が「飲んでもよい」という意味なのか「いけない」という意味なのか判断できませんでした。「一般的に」や「一部の成分」という言葉は、父親のケースがどちらに該当するのかを教えてくれません。身体や薬に関することであるため、第1章「AIの回答をそのまま信じてはならない状況の見極め」にある6つの確認項目のうち、2つ目の質問(「身体や健康に関することか?」)に該当します。

見送った選択肢。

  • 「一般的には一緒に服用できる」を信じて飲んでもらう。 父親が「一部」に該当する可能性があるため、見送りました。
  • AIに薬の箱の写真をアップロードして成分を判断させる。 写真を誤読する可能性があり、判断そのものをAIに委ねることになるため、見送りました。
  • ネットの掲示板で似たような経験談を探す。 他人の経験は父親のケースとは異なる可能性があるため、見送りました。

決定。 父親の症状が急を要するものではないことを確認したうえで、オ・ミソン氏はその晩、風邪薬を飲まないようにしてもらいました。代わりにAIへ「明日、薬剤師に尋ねる質問を整理して。血圧の薬を飲んでいる70代の父親が、風邪薬を一緒に飲んでもよいか確認したい」と依頼し、質問のリストを作成しました。翌朝、父親の血圧の薬の薬袋と風邪薬の箱を持って薬局へ行き、薬剤師に相談しました。AIは相談の準備を行い、判断は薬剤師が下しました。

参考

この場面は、確認の手順を示すための事例です。特定の医薬品を併用してよいかどうかに関する医療情報ではありません。医薬品については、必ず医師や薬剤師にご相談ください。

間違えやすいポイント

  1. 「出典リンクが付いているから確認済みの情報だ。」 公式サイトでその文書が見つかるか、公的機関であるか、内容が同一であるか、いつ書かれた文章であるか、という4点を確認する必要があります。出典は確認の出発点です。
  2. 「AIが教えてくれた電話番号に問い合わせれば確認できる。」 AIは番号を間違えて伝えることがあります。公式サイトに記載された代表番号に電話をかけます。
  3. 「複数のブログに同じ内容があるから正しい。」 同じ誤った記事を転載した可能性があります。1件の公式案内は10件のブログよりも信頼できます。
  4. 「公式サイトにある内容だから今でも正しい。」 古い告知が残っている場合があります。掲載日、事業年度、施行日を確認します。
  5. 「AIに間違っている箇所を指摘してもらったから点検は完了した。」 AIによる点検は、確認すべき箇所を見つける手助けにすぎず、確認そのものではありません。
  6. 「公的機関の一般的な説明は自分にもそのまま当てはまる。」 健康・法律の情報は、一般的な説明と自身のケースが異なる場合があります。個別のケースは専門家が判断します。
  7. 「確認する時間がないから、ひとまず信じて動こう。」 お金・健康・書類のように後戻りできない事柄ほど、確認を怠ってはいけません。「時間がない」と焦らせる感覚は、詐欺の常套手段でもあります。

ひと目でわかるまとめ

  • 確認は習慣です。 おつりを数えるように、回答全体ではなく要所の数箇所だけを見ます。
  • 下線を引く8項目: 数字、日付・時間、人名、店舗・機関・制度の名称、場所・住所、電話番号・ウェブサイトのURL、資格・規則、根拠。
  • 過度に断定する言葉(「誰でも」「必ず」「書類なしで」)は、条件が抜け落ちているサインです。
  • 出典の4点確認: 公式サイトで見つかるか、誰が作成したサイトか、内容が同一か、いつ書かれた文章か。リンクを直接クリックせず、公式サイトに直接アクセスして探します。
  • 日付を確認します: 掲載日、事業年度、施行日。昨年の情報をもとに今年の決定をしてはいけません。
  • 責任を持つ機関が最優先: 支援事業は担当機関、法律は国家法令情報センター、健康は医師・薬剤師。
  • リンクや電話番号は直接探します: メッセージやAIの回答にあるリンク・番号の代わりに、検索やお気に入りから公式サイトにアクセスします。
  • 量より質です: 10件のブログより1件の公式案内。
  • 健康・法律・お金: AIは相談の準備用、決定は専門家と公式窓口。急を要する症状はすぐに119番。
  • 確認が取れない場合: 使わないか、「未確認」と明記するか、待ちます。

公式ドキュメントで確認する

セルフチェック

3-1. AIの回答を読む際に下線を引くべき8項目のうち、5項目以上を書いてください。

3-2. AIが出典リンクを提示しました。この出典をもって「確認した」と言うためにはどのようにアクセスすべきかを1行で書き、何を確認すべきかの4点を書いてください。

3-3. 次の情報を確認するための最優先の場所を1つずつ書いてください。(ア)地元の保健所における今週のインフルエンザ予防接種の時間 (イ)ある法律がいつから施行されるか (ウ)自分が服用している2種類の薬を併用してもよいかどうか

3-4. メッセージで届いたリンクやAIの回答に記載された番号の代わりに、公式サイトや代表番号を直接調べてアクセスするほうがよい理由を2つ書いてください。

3-5. 5つのブログに同じ内容があるものの、公式サイトにはその内容がありません。この情報をどのように扱うべきか書いてください。

3-6. 健康問題でAIを活用する際、「AIに任せてもよいこと」と「医師・薬剤師に相談すべきこと」を2つずつ書いてください。

3-7. 家族のグループチャットに支援金の情報を伝える予定です。伝える前にすべきことと、伝える際に書き添えるとよい1行を書いてください。

実習課題

実習

下線を引いて確認する(45分)

  1. 自身の地域に関連し、回答の中に確認すべき事実が複数含まれる質問を1つAIに尋ねる(例:「○○区で70代の高齢者が受けられる今年の支援事業を1つ、対象、申請期間、支援金額、申請方法とともに教えて」)。
  2. 回答をノートに書き写すか画面を保存し、8つの基準に沿って下線を引く。
  3. 下線を引いた箇所ごとに「確認先の選び方」の表を参照し、最優先の確認場所を記入する。
  4. 公式サイトを検索して直接アクセスし、下線を引いた内容を1つずつ確認する。
  5. 「正しい」「誤り」「未確認」で表示し、誤っている箇所には正しい内容を記入する。

完了基準: 下線を引いた箇所が5箇所以上あり、それぞれに確認場所と結果(正しい・誤り・未確認)が書かれています。確認に使用した公式サイトの名称と掲載日が一緒に書かれています。

実習

相談準備表の作成(30分)

  1. 近いうちに病院、薬局、銀行、住民センターのいずれかに行く用事を1つ選ぶ。実際に行く用事がなければ、架空の用事を決める。
  2. AIに「○○に行って尋ねる質問を5つ作成して」と依頼する。氏名、住民登録番号、口座番号、診療記録のような情報は入力しない。
  3. 受け取った質問リストを自身の状況に合わせて修正し、必ず持参すべき持ち物(身分証、薬袋など)を自分で書き加える。
  4. 質問リストを1枚にまとめて印刷するか、ノートに書き写す。

完了基準: 相談機関、5つの質問、持参する持ち物が1枚にまとめられています。質問リストにAIが下した結論(診断、商品の推薦など)ではなく尋ねる質問のみが含まれており、個人識別情報が一切含まれていません。